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4-35 嵐の前触れ 1

ผู้เขียน: 結城 芙由奈
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-05-16 14:25:04

 翌朝――

 翔が出社すると、既に姫宮はオフィスのPCに向かって仕事をしていた。

「あ、翔さん。おはようございます」

姫宮は立ち上がると挨拶をした。

「姫宮さん、昨夜は遅い時間に電話を入れて悪かったね」

「いえ、大丈夫です。でもお部屋を予約することが出来て良かったです。尤もスイートルームになってしまいましたが」

「いや、別にそれ位は構わないさ。それじゃ早速だが、スケジュールが変更になったから打ち合わせをしようか」

翔はPCをたち上げた――

****

 18時、朱莉の部屋——

 翔は仕事が忙しいのか、特に何の連絡も入って来ることは無かった。

朱莉はこの日、小さなクリスマスケーキを買った。

夕食にはチキンのグリル焼き、サラダ、ラザニヤを作り、バウンサーに寝かせた蓮の傍で1人でクリスマスのお祝いをした。

クリスマスのCDを流し、蓮にはサンタのコスチュームのベビードレスを着せて写真撮影をした。そして翔のスマホに蓮のサンタ姿の画像と共に、簡単に昨夜のお礼を兼ねたメッセージを送信した。

「フフフ……レンちゃん。とっても可愛いわよ」

翔にメッセージを送信すると朱莉は蓮の柔らかいほっぺを撫でながら笑みを浮かべた。

「マーマー」

その時、突如として蓮が朱莉を見て笑った。

「え……? レンちゃん……? ひょっとしてママって言ったの?」

朱莉はバウンサーから蓮を抱き上げた。すると再び蓮が朱莉を見て言った。

「マーマー……」

「レンちゃん……」

思わず朱莉の目に涙が浮かび、感極まった朱莉は蓮をギュッと抱きしめた。

「うん……そうだよ、レンちゃん。今だけは……後少しだけは……私はレンちゃんのママだよ……」

そして蓮のほっぺたに自分の頬を摺り寄せると幸せそうに笑みを浮かべた。

(レンちゃんがママって言ってくれたことが……私の一番のクリスマスプレゼントだなんて……)

朱莉はいつまでも蓮を抱きしめていた――

****

「ふう~……」

翔はネクタイを緩めながら疲れた顔で自宅へと帰って来た。コートと背広をハンガーにかけるとすぐにバスルームへ向かい、熱いシャワーを浴びながら呟いた。

「最近シャワーばかりだったからな……。ホテルでは温泉につかってゆっくり過ごすか……」

バスルームから戻ると、スマホに着信が入っていることに気が付いた。着信相手は朱莉からであった。翔はメッセージを開いてみた。

『お仕事お疲れ
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